例文にはまだまだ改善の余地があったと思う一冊
商談や大学ディベートなどで丁々発止とやりあう際に役立つ英語表現集かと思わせるタイトルですが、本書で取り上げている会話例のいくつかは意外とくだけています。 例えば「その提案は疑わしいと思います。」(I have my doubts about what you have just suggested.)という基本表現を取り上げた会話例では、東京の表参道で買い物をするのが楽しいかどうかが議論の対象です。また「本当ですよ。(It’s really true.)」という表現を盛り込んだ会話では「メアリーが妊娠しているのが本当かどうか」が議論されています。ことほどさように同僚同士の昼休みの会話といった卑近な話題がかなり目につきました。 もう少し会話例文の内容を吟味して執筆しても良かったのではないでしょうか。 本書で取り上げている表現は議論・討論で「えぇっと次に何を言って相手を言い負かそうかな」と考えるための時間かせぎに役立つものがほとんどです。「あなたの意見に賛成だ」「もう少し詳しく説明してください」「確かにそうとも言えますが…」といった「会話の接ぎ穂」集です。議論・討論で相手を打ち負かすための「ズバリ」の表現が載っているわけではありません。 相手を打ち負かすのは気の利いた「接ぎ穂」表現などではな!く、理路整然とした論理展開です。英語のクリーシェは補助手段でしかない、ということを再認識させられた思いがします。 なお、各表現を盛り込んだ会話は本書では2例ずつ掲載されていますが、付属のCDにはそのうち1例ずつしか吹き込まれていません。 また北米出身者の吹き込み者が、英会話の入門書なみにゆっくり読んでいるのは意外な感じがします。こうした本を手にする人にはもう少し日常会話なみのスピードで吹き込んであっても良いと思います。
ナツメ社
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